自然の生態系を活かしたハード防災対策の考え方について
日本は災害大国であり、そのために昔から防災対策が進められています。防災対策には大きくハード防災対策とソフト防災対策があり、ハード防災対策とは堤防の補強や耐震化などであり、ソフト防災対策とは防災マニュアルの作成や啓発活動などです。最近ではこのハード防災対策の分野において、元々の自然の生態系を活かした形で防災対策が注目されています。
今回はそんな自然の生態系を活かしたハード防災対策について、そもそも自然の生態系を活かしたハード防災対策とは何か、自然の生態系を活かしたハード防災対策のメリットなどについて、環境省自然環境局が公表している「生態系を活用した防災・減災に関する考え方」を参考にしながら書いていこうと思います。
自然の生態系を活かしたハード防災対策とは何か
そもそも自然の生態系を活かしたハード防災対策とは何かをひとことで言うと、棚田や水田を使って洪水を緩和したり、遊水池や湿地再生によって洪水を緩和したり、サンゴ礁やマングローブによってた高潮被害を軽減したりなど、自然の生態系を活かして災害対策をしようというものです。
生態系を用いて防災対策を行うことで、脆弱な土地開発や利用を避けて、生態系を緩衝材として用いることで災害による被害を軽減させるというものです。
このように生態系の持つ機能を積極的に活用する考え方を「グリーン・ストラクチャー」と呼ぶのですが、この考え方は国際的にも大きな注目を集めています。
自然の生態系を用いた防災の考え方は大きく2つあります。1つ目は「暴露の回避」です。暴露の回避とは、自然災害に対して脆弱な土地開発を避けて、生態系の保全と再生を図って、人命や財産が危険に暴露されることを回避するというものです。
2つ目は「脆弱性の低減」です。生態系を危険な自然現象を低減させるための緩衝材として活用するというものです。
自然の生態系を活かしたハード防災対策のメリット
自然の生態系を活かしたハード防災対策のメリットはいくつかあります。具体的には、災害リスクを低減させること、さまざまな災害で効果を発揮すること、低コストでの整備・維持管理が可能であること、平時に多様な生態系サービスを発揮することなどがあげられます。
過去の災害でも自然の生態系が津波による被害を低減している事例なども発生しています。しかし一方で、定量的に防災の効果を計ること難しいというデメリットも存在しています。
自然の生態系を活かしたハード防災対策の具体例としては、河畔にある水害防備林は川の浸食から河岸を守るとともに、万が一河川が氾濫しても、被害を軽減する働きがあると言われています。
この他にも、サンゴ礁やマングローブによって高潮の被害を軽減したり、屋敷林によって防風対策を行うことができたりするなどの効果があります。
以上、自然の生態系を活かしたハード防災対策について、そもそも自然の生態系を活かしたハード防災対策とは何か、自然の生態系を活かしたハード防災対策のメリットなどについて見てきました。
自然の生態系を活かしたハード防災対策は近年になって注目されている分野であり、今後さらにその活用が進む可能性があります。
参考サイト▪︎環境庁「生態系を活用した防災・減災に関する考え方」