防災の観点から見た無電柱化の重要性について
地震などの災害が発生した際には、建物や構造物が倒壊することがあります。それによって下敷きになるなどで被害を受ける人もいますし、構造物が倒壊して道路をふさぐことでアクセスが寸断されることもあります。電信柱についても同様に災害時には倒れてしまい、それによって被害が拡大することがあるのですが、国土交通省では「無電柱化推進計画」を策定しており、無電柱化を進めています。
今回はそんな無電柱化について、そもそも無電柱化とは何か、無電柱化が防災で重要な理由、無電柱化の防災以外の効果、などについて書いていこうと思います。
無電柱化とは何か
そもそも無電柱化とは何かをひとことで言うと、電柱を地上に建てずに地中化などをすることです。現在日本には約3,600万本の電柱があり、毎年7万本ずつ増加していると言われています。
これらの電柱を無電柱化させることは、防災性の向上、安全性の確保、良好な景観、などの観点からその重要性が注目されています。
無電柱化をするための手法はいくつかあります。代表的なものは「地中化方式」ですが、この他にも建物の軒下を活用して電線類の配線を行う「軒下配線方式」や、表通りの無電柱化を行うために裏通りなどへ電柱や電線類を移設する「裏配線方式」などがあります。
無電柱化が防災で重要な理由
無電柱化を推進することは災害による被害を小さくする上では重要です。災害時には電柱が緊急輸送道路、避難所へのアクセス道、避難経路などを遮ることがあります。
特に市街地の道路では人口密度が高いために電柱や電線の密度も高く、災害時に電柱によってもたらされる被害がより大きなものになる可能性が高く、早急に無電柱化を図る必用があります。
(無電柱化とは?:国土交通省九州地方整備局HPより引用)
このように無電柱化は災害による被害をできるだけ小さくする上で重要であり、国土交通省では無電柱化推進計画を策定して、まずは優先度の高い都市部における人口集中地区の第一次緊急輸送道路から無電柱化が行われています。
無電柱化の防災以外の効果
無電柱化のメリットは何も防災だけに限った話ではなく、防災以外にも無電柱化には効果があります。
無電柱化の防災以外の効果としてまずあげられるのが安全な交通確保です。電柱があると物理的に歩道の幅が小さくなるために交通事故などの危険性が高まることがあります。
特に高齢者や障害者が多くバリアフリー化が必用な道路、人通りの多い商店街、学校周辺の通学路、歩行者が路側帯内にある電柱を避けて車道にはみ出すような道路では、安全な交通確保の観点から無電柱化が有効です。
また、景観の観点からも無電柱化は重要になります。有名な観光地などではその景観の観点から電柱が邪魔になることがあります。無電柱化を推進することはより良い景観を確保する点からも有効であると言えます。
以上、無電柱化について、そもそも無電柱化とは何か、無電柱化が防災で重要な理由、無電柱化の防災以外の効果、などについて見てきました。
無電柱化は防災の観点からは重要であり、災害による被害を少しでも小さくするために必要な防災対策になります。
参考サイト▪︎国土交通省「無電柱化の推進」