孤立集落とは?災害に取り残された住民を助けるための対策
災害が発生して道路や橋などのインフラ基盤が破壊されると、物理的に被災した集落にアクセスする手段が断たれてしまい、集落が孤立してしまうことがあります。
このことを孤立集落というのですが、日本では過去に何度も地震などの災害によって孤立集落ができてしまい、災害対応をより困難なものにしています。
今回はそんな孤立集落について、そもそも孤立集落とは何か、孤立集落の対策として何ができるか、などについて書いていこうと思います。
孤立集落とは何か
そもそも孤立集落とは何かについてひとことで言うと、災害によって外部との交通・通信の手段が途絶えてしまい、住民の生活を維持するのが困難になってしまった集落のことです。
孤立集落は中山間地や沿岸地域などで地震によって土砂災害が発生して道路に土砂が堆積したり、液状化現象によって道路が破損したり、津波によって道路が浸水したりすることで発生します。
平成26年に内閣府が発表した「中山間地等の集落散在地域における孤立集落発生の可能性に関する状況フォローアップ調査」によると、孤立化する可能性のある農業集落は17,212集落あると言われています。
仮に災害によって孤立集落ができてしまうと、被災した直後は事前の備蓄品である程度の生活はできるかもしれませんが、大規模な災害で災害対応が長期化した場合には生活に限界が出てきてしまいます。
実際に東日本大震災の時には津波や地盤沈下によって孤立集落が発生してしまい、救助が進みにくくなったという事例があります。また、集落ではなく、津波から逃げてビルの屋上に避難した人たちがそのまま取り残されてしまい、救助を数日待つような状態も発生してしまいました。
孤立集落の対策として何ができるか
このように孤立集落は災害にはある意味どうしても付き物なのですが、孤立集落の対策として考えられるものはいくつかあります。
まずは通信設備をしっかりと整備することです。集落が孤立したことを迅速に伝え、被害の状況を的確に伝えることで救助されるスピードも速くなります。衛星携帯電話の配備や行政無線を活用することで、通信手段の多様化を図ることが有効であると言えます。
また、原始的な方法ではありますが空を飛んでいるヘリコプターにメッセージを伝えるために、地面に大きな文字を書くという方法もいざというときには考えられます。
ヘリコプターを活用することも孤立集落への対策では必要不可欠です。山間地の住民やけが人、高齢者などはヘリコプターで搬送するという可能性もあります。
孤立集落への支援物資の搬送を考えた場合には、途中までは車で支援物資を運んで、道路が破損しているところまできたらそこからは歩いて支援物資を運送するという方法も考えられます。
一定規模の自然災害なら仮に孤立集落が発生しても救助隊が駆けつけてくれる可能性は高いのですが、南海トラフ地震のような大規模な災害が仮に発生した場合には、1つ1つの孤立集落に対して十分な対応ができるのかどうかは分かりません。
最近では農村部での高齢化も進んでおり、防災力が落ちている中で孤立集落が発生する可能性があるので、もし仮に集落が孤立化したらどうするのかを考えておくことも重要であると言えます。
以上、孤立集落とは何か、孤立集落の対策として何ができるか、などについて見てきました。災害から住民を守るために何ができるのかを考え、防災対策をしっかりとすることで、被害を少しでも抑制することができると言えます。
参考サイト▪︎内閣府「孤立集落対策について」