災害廃棄物処理とは?被災地で早期の復旧・復興を図る鍵

災害が発生すると大量のゴミが発生します。例えば洪水で家がめちゃめちゃになると、水に浸かった冷蔵庫や畳、車など捨てなければならなくなった生活用品が局所的に出てくるためです。
東日本大震災の際には放射性物質のこともあって災害廃棄物の処理をどうするのかが大きな課題となりました。しかし災害廃棄物は、放射性物質が有る無いにかかわらず、災害の度にその処理方法が問題になります。
今回はそんな災害廃棄物について、そもそも災害廃棄物とは何か、災害廃棄物を処理する際に気をつけるべきことは何か、などについて書いていこうと思います。

災害廃棄物とは何か

災害廃棄物とはひとことで言うと、その名前の通りですが災害に伴って発生するゴミのことです。ただのゴミなのだったら通常のゴミの処理と同じようにゴミ収集業者が処理すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、災害時には通常とは比べ物にならないほどのゴミが発生します。
それに加えて様々な種類の災害廃棄物が一度に大量に発生するので、処理がどうしても遅れてしまいます。しかし、災害廃棄物をいつまでも仮置き場の公園等に置きっぱなしになると、公衆衛生上の問題や生活環境の保全が大きく悪化してしまい、被災地の復旧・復興が遅れてしまいます。そのために災害廃棄物をいかに適切かつ早く処分できるのかが重要になってくるのです。
具体的に災害時に発生する廃棄物にはいくつ種類があり、生活ごみや避難所ごみ、壊れた家電製品などの片付けごみ、避難所の仮設トイレなどで発生するし尿等があげられます。
実際に過去の災害では、東日本大震災では3100万トン、阪神・淡路大震災では1500万トンもの災害廃棄物が発生してその処理には3年もの処理期間がかかりました。

参照記事
災害が環境問題に与える影響について!具体的な事例の紹介

災害廃棄物を処理する際に気をつけるべきこと

災害廃棄物を処理する際には何より住民の安全に配慮をする必要があります。災害廃棄物の中には薬品やスプレー缶など人体に悪影響を及ぼす可能性があるものも多いので、被災住民の衛生環境や安全に気をつけた処理をする必要があります。
また、いかに早く災害廃棄物を処理するのかも重要です。被災地にいつまでも災害廃棄物が置いてあると、腐敗して異臭を放ったり、二次災害の原因になったりすることもあります。また、ずっと災害廃棄物が家の近くに置いてあるだけで被災した住民にとっては心理的にも辛さを与えてしまいます。
具体的に災害廃棄物を処分する際に気をつけるべきポイントとしては、まず仮置場で「生ゴミ」の取り扱いに気をつかうことがあげられます。仮置場に冷蔵庫を捨てる際に、中に食品が入っており、それが腐敗することがあります。
そうなると異臭がひどくなり、大量のカラスや害虫が発生します。それを防ぐためにも、災害廃棄物の仮置場には生ゴミを持ち込まず、薬剤の使用等の対策を行う必要があります。
その他にも、仮置場で災害廃棄物から火災が発生して二次災害になることがあります。それを防ぐためにも、木くず等をあまりにも一箇所に積みすぎないことや、ガスボンベや灯油等の危険物を混合させずに、その取り扱いには十分気をつけることが大切です。

参照記事
災害時における避難所トイレの問題点と管理方法

災害廃棄物処理計画について

これらの災害廃棄物処理に関する取り組みは、災害が発生してからどうしようかと考えているのでは少し遅いです。そのために災害が発生する前の段階から事前に、災害廃棄物処理計画を策定しておくことが重要です。
災害廃棄物処理計画は地域防災計画や廃棄物処理計画でも言及されていますが、災害廃棄物処理計画を単独で策定している自治体はまだまだ少ないです。ただし、その重要性は高いので、今後はさらに多くの自治体が策定していく必要があります。
以上、災害廃棄物の処理について見てきました。見落とされがちな分野ではありますが、被災地がいち早く復旧・復興をするためには計画を事前に立てておく必要があると言えるでしょう。

参考サイト▪︎内閣府「企業防災のページ」