避難所の運営を効果的に行うには?ガイドラインを参考にした運営
災害が発生して家が壊れる又は今にも壊れそうな状態になると、住民は自分の家に戻ることができません。そんな人のために行政が準備するのが避難所です。避難所は災害で家に帰れなくなった人のために一時的に住める場所を提供します。
災害をテレビで見た場合にも、よく避難所になっている体育館などが映されて、そこで避難している住民に対してインタビューをしている様子を見たことがある人も多いかと思います。
そんな災害時に必要不可欠になる避難所ですが、実際に運営するのは至難の技です。特に何十日間も避難所の運営が続いた場合には、必ずトラブルが多く発生します。今回はそんな避難所の運営について、避難所運営のガイドラインのポイント、実際の避難所運営ではどんな問題が発生するのか、などについて書いていこうと思います。
避難所運営ガイドラインについて
当たり前ですが避難所を運営することは滅多にあるものではありません。ほとんどの行政職員はそれを経験することなく終わるかと思います。しかし、だからこそいざ災害が発生したらなかなか避難所の運営を上手に行うことができません。
避難所運営という滅多に発生しないことであっても、いざ発生した場合には、滞りなく運営できるようにしようと思って政府は「避難所運営ガイドライン」を作成しています。このガイドラインでは避難所を開設して運営していくためにはどんなことに注意すべきなのかが書かれています。
避難所運営では発生してからその運営体制を考えるのでは遅いので、まず平常時の段階で運営体制を確立することが書かれており、次に災害発生時にどうやって避難所を運営していくのかが書かれています。
災害発生前にできることとしては、まず災害の種類ごとに安全な避難所を確保すること、避難所運営マニュアルを作成すること、帰宅困難者や在宅避難者への対策を考えること等があげられます。
災害発生後に行うこととしては、避難者に情報を提供し、避難所の情報を外に提供すること、食べ物や飲料水の受け入れ体制を管理すること、トイレの管理をすること、衛生面や健康への配慮をすること、要配慮者への対応に気をつけることなどが書かれています。
避難所を運営するとは一体どういうことなのかなかなかイメージ出来ない人の多いかと思いますが、まずは何よりこの避難所運営ガイドラインを読んでみて、仮に自分の市町村で災害が発生したらどうしようかと考えてみるのが良いでしょう。
避難の実態把握は難しい
実際に避難所の運営を行う段階に入ると、さまざまな問題が発生してきます。まずよく聞くのが、被害の実態把握ができないことです。災害が発生して自分の家に住めない人が全員指定された避難所にくれば被災者の管理ができますが、実際にはそうはいきません。
指定された避難所以外の安全な場所に避難する人もいますし、自分の車の中に避難生活をする人も出てきます。指定された避難所の中に災害で被災して機能しなくなったものが出てくると、そもそも避難所の収容人数を超えた避難者が出てしまいます。
これらの原因からそもそも被災して自分の家に帰れない人は何人いるのか被害実態を把握するのが困難になります。避難所に来た人にだけ炊出しなどの補助をすれば良いというわけでもないので、さらに事態は複雑になっていきます。
特に車中泊をしている被災者は「エコノミークラス症候群」にかかってしまう危険性もあるので、注意喚起をして回る必要があります。
要配慮者への対応が難しい
災害が発生した際に、仮に体育館を避難所と指定していたとしても、そこに取合えず被災者を収容すれば良いとはいきません。高齢者や障害者などは、どうしても体育館で他の人と一緒に生活をするのが難しいからです。
そのために福祉避難所を指定しておき、実際に災害が発生した際にはそこに要配慮者を避難させたり、学校の中で要配慮者の方向けの部屋を別に準備するなどをしたりする必要があります。
以上、避難所の運営について見てきました。避難所の運営という今までに経験したことのない業務を、災害で周りが混乱している中でしっかりと行うことは無茶振りと言っても過言ではないかと思います。
しかし、その中でも少しでも効果的な避難所を運営していくためにも、事前にしっかりと準備をしておき、いざという時に備えておくことが必要と言えます。
参考サイト▪︎内閣府「避難所運営ガイドライン」