ダムと防災の関係!ダムには洪水調整機能がある
みなさんダムと聞くと、川や谷を横断するような形で巨大なコンクリートの固まりを想像すると思います。もしかしたら小学校の社会見学の時間に、ダムに行ったことがある人も多いかもしれません。
とても壮大な建物を近くで見ると圧倒されますが、このダムには洪水を調整する機能があり防災に大きく役立っているのです。今回は、そもそもダムとはどんなものなのか、防災(洪水調整)にどう役立っているのか、などについて書いていこうと思います。
そもそもダムとはどんなものなのか
そもそもダムについて何となくしか分かっていない人も多いかと思いますが、ダムは水力発電、治水、治山、防砂、廃棄物処理を目的として作られます。語源的にはオランダ語の「dam」から来ているそうです。古代エジプト文明の頃からダムは存在しており、昔から人類の生活を支えていました。
日本でも飛鳥時代(616年)から、現在の大阪府に当たる場所にダムが建設されており、治水や灌漑に利用されてきました。初めは治水目的で作られることが多かったダムも次第に治水と利水を両方兼ね揃えた多目的ダムが作られるようになっていきました。
ここまでの話ですと、ダムはとても欠点がなくて有益なものという印象を受けますが、いくつか問題点も指摘されています。代表的なものはメタンガスの発生です。ダムが設置されている地理的な条件やダムの大きさによっても変わるのですが、貯水池から大量のメタンガスが発生し、環境に悪いのではないかと指摘されています。
他にもダムの問題点として下流へと砂が流れていかないことや、生態系に与える影響などが指摘されています。このようにダムには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在しているということを認識しておくことは重要です。
ダムによる防災(洪水調整機能)
このようにダムにはいくつもの機能があります。その中でも防災という観点から見た際には洪水を調整するという機能があります。ダムの洪水調整機能について簡単にご説明します。
通常ダムでは河川の流入量と同じだけ放出を行っています。10の水が入ってきたら10の水を排出します。しかし、大雨なので河川の流入量が膨大になり、例えば100の水がダムに入ってくるとします。それをそのまま排出すると下流が洪水になってしまうので、限界まで水をダムに貯めることで50の水を排出します。このようにダムには豪雨の際などに、水の量をコントロールすることで洪水を調整することができるのです。
ダムの操作について
ダムについては公共性が極めて高いことから操作規則が設けられています。水の量に応じて操作方法が定められているのですが、特に必要と認められる場合の異常事態では特例的な操作を行うことができるのが一般的です。
また、ダムに似た機能を持った防災設備として「水門」「桶門」「陸閘」などがあります。これは洪水や津波の際に市街地に水が入らないようにする設備なのですが、通常時には開放されています。
洪水、津波、高潮などが予測される際には、この門を閉じることで街を自ら守るのですが、津波やゲリラ豪雨の際にはこの門を閉める作業が間に合わない可能性もあります。
実際に東日本大震災の際にはこの門を閉めるために海岸に向かった消防団員が津波に巻き込まれてしまうという不幸な事態が発生しました。それに伴って災害対策基本法が改定されて、災害緊急対応を行う際には従事する者の安全を十分に確保する旨の記載がされました。
また東日本大震災の際には想定以上の津波が発生したために、水門ではとても耐えきれない津波によって水門そのものが破壊されて流されてしまうというケースも多く発生してしまいました。
以上これまで述べてきたように、ダムには洪水調整機能があり、それは防災に大きく役立っています。また、ダムと似た機能を持っているものに「水門」「桶門」「陸閘」などがありますが、これはその取り扱い方法も含めて、現在多くの議論がされているところです。
参考サイト▪︎国土交通省「ダム」