緊急交通路とは?災害時の交通状態を整理するために

大規模な災害時には交通網が麻痺して被災地に必要な救助隊員や支援物資を届けることができなくなることがあります。
災害発生から3日間は「黄金の72時間」とも言われており、人命救助をするにあたって極めて重要な時間帯であり、一刻も早く被災者の救助に当たる必要があります。
必要な人員や物資を必要としている被災地に届けるためには、届けるための交通網が整備されている必要がありますが、交通網を整備するにあたって「緊急交通路」が重要になってきます。
今回はそんな緊急交通路について、そもそも緊急交通路とは何なのか、過去に緊急交通路はどのように活用されてきたのか、などについて簡単に書いていこうと思います。

緊急交通路とは何か

そもそも緊急交通路とは何かをひとことで言うと、大規模な災害が発生した際に災害対応を行うための車両を優先的に通行させ、一般車両の通行を禁止又は制限する道路のことです。
災害が発生した際には、消防・救急・警察・自衛隊など災害対応に従事する人員を迅速に被災地に送り込む必要がありますが、少しでも早く被災地にそれらの人員を送り込むために緊急交通路は欠かせません。
この他にも、災害によって壊れたインフラを復旧するための業者や、支援物資を届けるための車両なども同様に緊急交通路を活用して被災地へと向かいます。
緊急交通路を活用するためには、証明書の交付を受ける必要があり、警察署で受け取ることができるのですが、災害発生直後は混乱から取得に時間がかかってしまうので、事前手続きを行っておき、災害対応に従事するものとして事前届出をしておく制度を活用するのが一般的です。
緊急交通路には下記のような標識や案内板が設置されており、災害時には標識の内容が変わります。

(緊急交通路:警視庁HPより引用)
緊急交通路は災害対策基本法にも規定されており、災害対応を円滑に行うための重要な制度になっています。

参照記事
緊急輸送道路(緊急輸送路)とは?その役割と耐震化について

過去に緊急交通路はどのように活用されてきたのか

過去の大災害でも緊急交通路は何度か活用されてきました。阪神淡路大震災が発生した時には兵庫県の基幹的な道路である国道2号線が緊急交通路に指定されました。
東日本大震災が発生した際には東北自動車道、常磐自動車道、磐越自動車道等の高速道路について緊急交通路に指定され、災害対応に従事する車両が優先的に通行しました。
東日本大震災を受けて警視庁では事前に緊急交通路を公表するようになりました。また、甚大な被害が予測されている南海トラフ地震では134路線、31都道府県の6117キロを緊急交通路にする計画を公表しています。
以上、緊急交通路について、そもそも緊急交通路とは何なのか、過去に緊急交通路はどのように活用されてきたのか、などについて簡単に見てきました。
発災直後の災害対応はスピードが命であり、迅速に対応をするにあたって緊急交通路の活用は重要になってきます。

参照記事
防災の観点から見た無電柱化の重要性について

参考サイト▪︎警視庁「緊急自動車専用路・緊急交通路」