大規模盛土造成地とは?地震による地滑りを防ぐために
日本は地震大国であり、今までにも数多くの地震が発生してきました。特に大きい地震としては、阪神・淡路大震災や東日本大震災などがあり、どちらも甚大な被害をもたらしました。
どちらも地震の揺れによって様々な二次災害が発生しましたが、盛土造成地と言われる宅地開発のために丘陵地を削り谷や斜面に土が盛られた場所では、盛土が地滑りを起こし、造成宅地において崖崩れや土砂の流出が発生しました。
このように盛土造成地は地震の際に被害が拡大する可能性があるので、政府は大規模盛土造成地の滑動崩落対策を行っています。
今回はそんな大規模盛土造成地について、そもそも大規模盛土造成地とは何か、大規模盛土造成地マップとは何か、大規模盛土造成地の滑動崩落対策の流れ、などについて書いていこうと思います。
大規模盛土造成地とは何か
そもそも盛土造成地とは何かをひとことで言うと、宅地開発のために丘陵地を削り、谷や斜面に土が盛られた場所のことであり、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際には、崩壊する場所が相次ぎました。
大規模盛土造成地は盛土造成地のうち規模の大きさや盛土造成地の型などの要件を満たしている盛土造成地のことです。
(大規模盛土造成地とは:国土交通省HPより引用)
高度経済成長期に都市部で作られることが多かったです。大規模盛土造成地は宅地造成等規制法などによって技術基準を強化した2006年以降は東日本大震災の際にも被害が発生してなったという事実があります。
そのために、旧基準で作られた大規模盛土造成地については、今後の地震災害による被害を小さくするために、危険性が高い場所の滑動崩落防止工事などの予防対策が必要になっています。
大規模盛土造成地の地滑りにはいくつかの種類があります。一つ目は全体すべりであり、盛土と地山との境界面および盛土の内部を滑り面とする盛土全体の地滑り的変動のことです。
二つ目はひな壇部分のすべりです。盛土内部を滑り面とするひな壇の地滑り的変動のことです。
三つめは複合すべりです。全体すべりとひな壇滑りが複合して発生する地滑り的変動のことです。
(大規模盛土造成地とは:国土交通省HPより引用)
大規模盛土造成地マップとは何か
このように大規模盛土造成地は地震の際に地滑りの被害が発生する可能性があるのですが、この危険性を認知し対策を進めるために、都道府県や市町村では、地震時に滑動崩落の可能性がある大規模盛土造成地について調査を行い、「大規模盛土造成地マップ」として公表を進めています。
すでに過半数の市町村が大規模盛土造成地マップを公表しており、公表率は年々高まってきているので、今後はさらに大規模盛土造成地マップの公表率が高まっていくことと予測されます。
(大規模盛土造成地マップの公表状況等について:国土交通省HPより引用)
大規模盛土造成地の滑動崩落対策の流れ
大規模盛土造成地の滑動崩落対策の流れはいくつかの段階に分けることができます。まずはそもそも大規模盛土造成地が存在するのかどうかを調査します。仮に大規模盛土造成地が存在した場合には、地震が発生した際に変動する恐れがあるのかを確認します。
仮に変動する恐れがある場合には、造成宅地防災区域の指定、又は宅地造成工事規制区域の勧告を行います。その後、滑動崩落防止工事を行い、工事が完了したら造成宅地防災区域の指定の解除を行います。
これらの調査や工事にはお金がかかりますが、政府では宅地耐震化推進事業の予算によって規模盛土造成地の滑動崩落対策に対しては支援金を提供しています。
具体的には変動予測調査には1/3の費用を支援し、滑動崩落防止工事には1/4の費用を支援しています。
以上、大規模盛土造成地について、そもそも大規模盛土造成地とは何か、大規模盛土造成地マップとは何か、大規模盛土造成地の滑動崩落対策の流れ、などについて見てきました。
大規模盛土造成地は地震による二次災害を防ぐためにも滑動崩落対策が必要なエリアであり、阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓を踏まえて、今後の防災対策の普及が必要になっています。
参考サイト▪︎国土交通省「大規模盛土造成地の滑動崩落対策について」