複合災害とは?その災害事例と防災対策について
東日本大震災の時には、まずM9レベルの大きな地震が発生し、次に巨大な津波が発生し、福島第一原子力発電所の事故が発生しました。地震だけでなく、津波や原子力発電所の事故など複数の災害が発生しまいしたが、このような災害のことを「複合災害」と呼びます。
災害は一つの災害だけが発生することも多いですが、過去の日本の災害を振り返ると、地震と風水害が連動するなどといった、いくつもの災害が発生する複合災害を繰り返してきています。
今回はそんな複合災害について、そもそも複合災害とは何か、複合災害の事例、などについて書いて行こうと思います。
複合災害とは何か
そもそも複合災害とは何かについてひとことで言うと、複数の災害が同時またはほぼ同時に発生することです。地震が発生した後に津波がくることは複合災害の誰もが知っている事例ですが、この他にも、風水害から土砂災害が発生するなど、複合災害の組み合わせは多くあります。
一つの災害だけでも対応することが難しいにも関わらず複数の災害が発生するので、その分だけ災害対応を行う際の難易度も難しくなっていきます。
日本における過去の災害を見ても、複合災害が発生したことによって被害が拡大した事例は多く存在しており、複合災害としてどのようなことがあり得るのかを把握し、それぞれの災害対策を考えていくことが重要になってきます。
複合災害の事例
複合災害としての組み合わせは数多くあり、ここでその全てをご紹介することはできませんが、代表的な複合災害の事例について見て行こうと思います。
複合災害の事例:火山活動と地震
火山活動によって地震が誘発されることがあります。1941年に発生した桜島噴火ではマグニチュード7の地震が発生し、多くの犠牲者が出てしまいました。
複合災害の事例:火山活動と津波
あまり知られていませんが火山活動によって山体崩壊が起こり、泥流などが海に流入して津波が発生することがあります。1792年に発生した雲仙岳噴では津波によって大量の犠牲者が発生しました。
複合災害の事例:地震と火災
地震が発生すると建物が崩壊するなどにより、揺れによってガスコンロやストーブなどから火災が発生し、場合によっては火災が近隣に延焼していき、大きな火災が地震により発生することがあります。1923年の関東大震災は地震によって火災が発生して多くの犠牲者が発生したことで知られています。
複合災害の事例:地震と水害
地震によって津波とは別に水害が発生することがあります。代表的なものは地震によって河川の堤防が破損し、そこから浸水が発生することです。仮に土地が海抜ゼロメートル地帯で発生すると被害が拡大してしまいます。1948年の福井地震では地震の後に大雨となり、市街地が浸水しました。
複合災害の事例:津波と火災
これは意外に思われる方もいるかもしれませんが、津波によって火災が発生することがあります。大きな津波が街を襲うと構造物ごと流されてしまうことがありますが、ガスボンベや自動車などが津波によって流され、他の漂流物とともにどこかに蓄積され、何かの衝撃で引火すると火災になることがあります。
東日本大震災の際にも津波によって流された自動車が他の漂流物とぶつかるなどした衝撃で火災が発生した場所もあったと報告されています。
以上、複合災害について、そもそも複合災害とは何か、複合災害の事例、などについて見てきました。「悪いことは重なる」という言葉もありますが、災害でもそれは当てはまるかもしれません。
防災計画を立てる際には、最悪の自体も想定しておきながら、いざ複合災害が発生したらどう行動すれば良いのかを考えておくことで、いざ本当に災害が発生した際に被害を抑制することができます。
- 参照記事
- 国土交通省の首都直下地震対策計画について
参考サイト▪︎復興庁「今後の災害への備え」