緊急消防援助隊(緊援隊)とは?災害時に災害対応を行う消防部隊
大規模な災害が発生した場合には、被災地の自治体職員や消防隊員だけでは対応しきれないことがあります。そのために大きな災害が発生した際には、自衛隊の災害派遣がなされたり、TEC-FORCEと呼ばれる緊急災害対策派遣隊が派遣されたりします。
消防についても似たような援助隊を持っており、その援助部隊のことを「緊急消防援助隊(緊援隊)」と呼びます。普段の生活で消防というと火災の消火活動を行うイメージがあるかと思いますが、災害時にも大きな役割を果たします。
今回はそんな緊急消防援助隊について、そもそも緊急消防援助隊とは何か、緊急消防援助隊の過去の活動実績はどうか、などについて書いていこうと思います。
緊急消防援助隊とは何か
そもそも緊急消防援助隊とは何かをひとことで言うと、大規模な災害が発生した際に災害活動を行う消防部隊のことです。大規模な災害や特殊な災害が発生した際に、全国から被災地に緊急消防援助隊が出勤し、迅速に人命救助などの活動を行います。
被災地の市町村長や都道府県知事または消防庁長官の要請に基づいて出勤するのですが、過去にも緊急消防援助隊によって災害活動が何度も行われてきました。
緊急消防援助隊が設立されるきっかけは阪神淡路大震災でした。ご存知の通り阪神淡路大震災では多くの人が犠牲になり、日本の防災対策を見直す一つの契機となりました。
阪神淡路大震災が発生した際には、全国規模で災害派遣を行うという制度はなく、応援部隊が災害対応を行うマニュアルも十分に整備されていませんでした。そのために消防庁は全国レベルでの消防機関による消防応援を迅速に行うために、1995年に緊急消防援助隊制度を開始しました。
その後、南海トラフ地震や首都直下地震など、今後日本で発生する可能性のある大規模地震にも対応できるように緊急消防援助隊は再編成を行いながら現在の緊急消防援助隊が出来上がりました。
緊急消防援助隊の部隊編成は大きく2つに分かれます。1つ目は指揮支援部隊です。指揮支援部隊では被災地の消防本部の指揮や連絡調整を行います。要請があるとヘリコプター等を活用していち早く被災地入りし、災害対応を行います。
2つ目は都道府県大隊です。都道府県大隊はその中でさらにいくつもの隊に分けられます。まず都道府県大隊指揮隊では都道府県隊を統括し、その活動管理を行います。
次に消火中隊は大規模火災発生時の延焼防止のための消火活動を行い、救援中隊は要救援車の検索、救助活動を行います。
後方支援中隊は各部隊の活動支援を行うために、給水設備を備えた車両などで必要な輸送・補給活動を行い、航空中隊は消防防災ヘリコプターを用いて消火活動を行います。
この他にも緊急消防援助隊には多くの部隊が存在しており、それぞれが被災地の災害対応を行う上で重要な役割を担っています。
緊急消防援助隊の過去の活動実績
緊急消防援助隊は今までに多くの災害対応を行ってきました。2004年10月に発生した新潟中越地震では関連機関とともに被災地の救助活動を行い、453人の被災者を救出しました。
2011年3月の東日本大震災では、実に7577部隊が派遣され、地震や津波による被災者の救援以外にも、福島第一原子力発電所の事故対応も行い、放水活動や除染活動に従事しました。
2014年の御嶽山噴火では、山岳救援部隊などが派遣され関連機関とともに86人の被災者を救助しました。2016年の熊本地震では緊急消防援助隊によって86人の被災者が救助されました。
このように緊急消防援助隊は今までに被災地の災害対応を援助するために何度も派遣されてきており、大きな成果を上げてきています。
以上、緊急消防援助隊について、そもそも緊急消防援助隊とは何か、緊急消防援助隊の過去の活動実績はどうか、などについて見てきました。今後も緊急消防援助隊の活躍に期待です。
参考サイト▪︎総務省消防庁「緊急消防援助隊」