指定行政機関と指定公共機関とは?災害に備えて指定される行政と民間
日本の災害に関する基盤となる法律に災害対策基本法があります。災害対応に関する基本的な法律事項が書かれており、まさに日本の災害体制の骨格となっており、この災害対策基本法に基づいて防災基本計画が考えられ、その防災基本計画から地域防災計画が作成されます。
その災害対策基本法の中で、指定行政機関と指定公共機関というものが存在します。その名前の通り、行政の中で指定された機関と、民間の中で指定された機関なのですが、その重要さから災害時には特別な対応を行います。
今回はこの指定行政機関と指定公共機関について、そもそも指定行政機関と指定公共機関とは何なのか、なぜ指定行政機関と指定公共機関は重要なのかについて簡単に書いていこうと思います。
指定行政機関 とは何か
まず指定行政機関とは何なのかひとことで説明すると、災害時に国や地域を守るために国の施策に準じて決められた災害時の行動を行う行政機関です。
具体的には内閣府・国家公安委員会・警察庁・金融庁・消費者庁・総務省・消防庁・法務省・外務省・財務省・文部科学省・文化庁・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・資源エネルギー庁・中小企業庁・国土交通省・国土地理院・気象庁・海上保安庁・環境省・原子力規制委員会・防衛省の24機関が指定行政機関となっています。
どれも災害時には重要な役割を担うために、事前に災害対策基本法の中で指定行政機関として指定され、災害時には特定の行動をとるように求められています。
指定公共機関とは何か
次に指定公共機関とは何なのかひとことで説明すると、災害時に国や地域を守るために国の施策に準じて決められた災害時の行動を行う民間機関です。指定行政機関が行政であったのに対して、指定公共機関は民間の機関です。
ただし民間の機関といってもインフラ関連など公共性の高い事業を行っている会社が多く、具体的には電力会社、ガス会社、鉄道会社、道路会社、通信会社、などもともとは行政が担っていたような機関が多いです。
また最近では日用品の安定供給という観点から小売店も指定されており、イオン、セブン&アイ・HD、ローソン、ファミリーマートなどの大手小売チェーン店も指定公共機関に指定されています。
過去の災害において、これらの民間機関は支援物資を供給するという観点から非常に貢献してきたのですが、一般車両と同じ扱いを受けていたことから一般車両と同じ扱いになり、災害時に渋滞に巻き込まれてしまうという課題がありました。
しかし指定公共機関となることで、事前に緊急車両に登録することができたり、省庁や都道府県などが情報共有する中央防災無線網が使えるようになったりと、迅速に行動ができるようになったと期待されています。
災害時にはこれらの指定行政機関や指定公共機関が被災地の生活を支える上で非常に重要な役割を担うことになり、そのために災害対策基本法でも事前に指定を受けます。
以上、そもそも指定行政機関と指定公共機関とは何なのか、なぜ指定行政機関と指定公共機関は重要なのかについて簡単に見てきました。これからもこれらの指定機関は災害対応の中心的な存在として期待されています。
参考サイト▪︎内閣府「指定地方行政機関」