災害ボランティアセンターと社会福祉協議会が抱える課題について

2018.06.06

阪神淡路大震災が発生した際には日本全国から災害ボランティアが駆けつけ、「ボランティア元年」とも呼ばれています。その後も大きな災害が発生するとボランティが被災地の支援に向かいます。
しかし、被災地の災害ボランティアセンターと個人ボランティアの受け入れや、行政とボランティアの連携についてはまだ課題が残っており、今後の被災地対応をより効果的なものにしていくためにも課題を解決していく必要があります。
内閣府ではこのような状況を踏まえて「広く防災に資するボランティア活動の促進に関する検討会」を開き、災害ボランティア活動の促進のために議論を重ねています。
今回はこの検討会の内容をもとに、災害ボランティアセンターや社会福祉協議会などが抱える課題と実施すべき取り組みについて書いていこうと思います。

災害ボランティアセンターの設置・運営に関する課題と解決策

災害ボランティアの受け入れについては各地域の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置・運営していくことが一般的になっています。地域防災計画の中にもこれが規定されている場合もあります。
しかし、社会福祉協議会はもともと平常時には地域福祉の事業を行うところであり、あくまでボランティア活動はその数ある業務の中の一つでしかありません。
災害時には要配慮者の安否確認や介護福祉事業、などの業務を行う必要があり、時にボランティアの受け入れ業務などで社会福祉協議会の強みである地域福祉の支援が十分にできないこともあります。

これからの理由から社会福祉協議会のみで災害ボランティアセンターの設置・運営を行うのは限界にきているという課題があります。
この課題を解決するために、災害ボランティアセンターの設置・運営を行うのは社会福祉協議会を核としながらも、地域における様々な団体が関与・支援する必要があるという意見もあります。
地域のボランティア団体やNPO、青年会議所、日本赤十字社、中間支援組織などとより強く連携することなどが考えられます。

参照記事
熊本地震におけるボランティアとNPOの活動について

災害ボランティアの円滑な受け入れに関する課題と解決策

災害対応を行うにあたって災害ボランティアを受け入れることは重要ですが、ボランティアの受け入れ体制が整わない中で受け入れ能力を超えるボランティア参加者が集まることがあります。
一方で被災地が複数ある場合には、マスコミなどから注目される被災地には多くのボランティアが集まるが、注目されていないエリアではボランティアは集まらないということがあります。
この他にも、個人ボランティアは平日は仕事をしているので祝日にボランティア参加者が集中したり、中長期的な視点でボランティアが継続的に集まる体制を作ることができなかったりします。

この課題を解決するためにも、被災地の地方公共団体はボランティア希望者に関する情報発信に一層力を入れると同時に、地方公共団体は報道機関に積極的な情報提供を行い、災害時には適切な報道がされるように努める必要があります。
ボランティア希望者の受け入れを効率化する観点からは、ボランティア希望者のオンライン登録制度の検討などもあがっています。
安定的・中長期的なボランティアを受け入れるにあたっては、地方公共団体は企業、青年会議所、労働組合、協同組合、大学などボランティアの参加者が期待できる組織に協力依頼を出すなどの方法が考えられます。

参照記事
災害ボランティアセンターとは?その概要と役割について

地方公共団体とボランティア団体との連携に関する課題と解決策

地方公共団体とボランティア団体との連携は災害対策基本法や防災基本計画でも触れられている一方で、地方公共団体ではボランティア団体とどのように連携していけば良いのか分からないという課題があります。
この課題を解決するために、平時から地方公共団体の職員を対象に研修会を実施したり、ボランティア団体と交流の機会を作ったりすることで、顔の見える関係を構築することが重要になります。

ボランティア団体間の連携強化に関する課題と解決策

東日本大震災の際には様々なタイプのボランティア団体が被災地の支援に関わっており、被災地における支援全体を見回してボランティア団体間の情報共有・調整を行う機能、被災地外から受け入れなどを調整する機能を有する、ネットワーク組織や中間支援組織の必要性が高まっているという課題があります。
この課題を解決するためにも、平時から都道府県単位でネットワーク作りを進めていき、災害時の連携を検討する訓練などを進めていく必要があります。
以上、「広く防災に資するボランティア活動の促進に関する検討会」に記載されている内容をもとに、災害ボランティアセンターや社会福祉協議会などが抱える課題と実施すべき取り組みについて書いてきました。
災害ボランティアは被災地支援を行う上で重要な要素であり、その効果的な運用体制を事前に考えておく必要があります。

参照記事
災害ボランティアセンターの業務概要について

参考サイト▪︎内閣府「広く防災に資するボランティア活動の促進に関する検討会」