災害時に物流を効果的に動かすための広域物資拠点について

2018.07.11

大きな災害が発生した際には、被災地が事前に準備していた備蓄品だけでは被災者に必要な物資を何日間も供給し続けることができないので、近隣の自治体や提携先の民間企業などから支援物資を受け取る必要があります。しかし、災害時には被災によって交通機関も完全には機能していない中で、大量の支援物資が被災地に届くので、災害時の物流の管理はとても大変なものになります。
実施に東日本大震災や熊本地震などでは災害時の物流管理で多くの教訓を得ており、これを受けて国土交通省では災害に強い物流システムの構築に向けて「広域物流拠点開設・運営ハンドブック」を公表しています。今回はこのハンドブックを参考にしながら、災害時に物流を効果的に動かすための広域物資拠点について書いていこうと思います。

災害時に物流を効果的に動かすための発災前準備

災害時に物流を効果的に動かすためには、大規模災害が発生する前に一次物資拠点を速やかに選定・開設・運営するために予め関係者間で取り決めておくべき項目、共有する情報を明らかにし、災害時の対応に備える必要があります。

物資輸送チームの設置と役割分担

災害時に一次物資拠点を効率的に運営するためには、物資輸送の関係者間で事前に災害時の体制構築について話し合いをすることが重要です。話し合いのなかでは、倉庫協会やトラック協会が派遣する物流専門家、運輸局派遣職員、都道府県職員などを構成員とする物資輸送チームを設置することで体制を構築します。
また、その中でそれぞれの役割分担を行うことで、事前に災害時には自分たちは何をしなければならないのかを明確にしておきます。

(物資輸送チーム:国土交通省HPより引用)

災害時協力協定の締結

大規模災害が発生したできる限り早く物流体制の構築を行う必要があるために、都道府県は予め倉庫協会、トラック協会と災害時協力協定の締結しておく必要があります。
災害時に物流に関するノウハウを持っていない行政職員だけで大量の支援物資に関して適切な物資管理をするのは不可能であり、それが理由で被災者に必要なものが届かなくなる可能性もあります。
その事態を避けるためにも、物流専門家の協力は必要不可欠であり、事前に災害時協力協定の締結をしておく必要があります。

参照記事
受援計画と業務継続計画(BCP)との密接な関係

関係機関の自動参集基準、連絡表の作成

関係機関は大規模災害が発生した際に、できるだけ早く連携して物流体制の構築に向けて行動を起こす必要があるのですが、そのたために「震度6弱以上の地震が観測されたら自動参集をする」などの基準を作成しておくことで速やかに体制を構築することができます。
また、すぐに連携するためにはそれぞれの機関の担当者を決めておく必要があり、災害時に確実な連絡体制を確保するために担当者連絡表も作成しておいた方が良いです。

物資拠点候補地リストと管理シートの作成

災害時に物資拠点として活用する可能性のある場所について事前に候補地を複数リストアップしておきます。また、リストアップした施設ごとに管理シートを作成して、物資拠点としての施設の態様や備品状況などを管理していきます。

被災状況チェックシートの作成

災害が発生した際にどの物資拠点候補地を活用すべきなのか、すぐに決定するために、物資拠点候補地の被災状況チェックシートを作成しておきます。
事前に災害によって物資拠点の被災状況としてチェックすべきポイントを明確化しておくことで、物資拠点候補地の絞り込みをすぐに行うことができます。

物資拠点の必要規模算定シートの作成

大規模災害が発生すると、どれくらいの量の支援物資が必要になるのかによって、必要となる物資拠点の規模も変わってきます。
そのために、都道府県は市町村に必要となる物資量や物資拠点に必要な面積などが簡単に計算できるシートを事前に準備しておくことが重要です。

参照記事
救援物資(支援物資)の受付の仕組みと効果的に行う方法

災害時に物流を効果的に動かすための災害時対応

大規模災害が発生した場合には、一次物資拠点を速やかに選定・開設・運営していく必要があるのですが、そのための手順について整理していこうと思います。

一次物資拠点を開設するための参集

物資輸送チーム及びその関係者は事前に決めた自動参集基準に基づいて、大規模災害が発生したら速やかに各自やらなければならないことを実行して行きます。

一次物資拠点の選定

一次物資拠点の選定にあたり、候補になっていた施設の被害状況を事前に作成していた「被災状況チェックシート」に基づいて確認していきます。
また、必要になる支援物資の量を事前に作成していた「物資拠点の必要規模算定シート」に基づいて確認して、使用可能な施設からどの施設を一次物資拠点として活用するのかを決定します。

一次物資拠点の開設

一次物資拠点が民間施設の場合には、その物資拠点を管理する倉庫業者またはトラック事業者は一次物資拠点開設のため、物資輸送チームと連携を図りながら、運営に必要な人員の手配や資機材の配備を行います。
一次物資拠点が公的施設の場合には、物資輸送チーム及び関係機関は一次物資拠点への物流専門家の派遣や運営に必要になる人員・資機材の調達と配備を行います。
以上、災害時に物流を効果的に動かすための広域物資拠点について見てきました。災害時の物流は被災者に生活に必要なものを提供するために重要な役割を果たしており、事前にその運営について考えておく必要があります。

参照記事
初動対応とは?災害時に生命と財産を守るためにすべきこと

参考サイト▪︎内閣府「広域物流拠点開設・運営ハンドブック」