河川への遡上津波による被害について!津波が河川を逆流する

大きな地震が発生するとそれに伴って大きな津波が発生することがあります。津波は海から海岸へと向かってくるのが一般的ですが、場合によっては内陸部から津波が襲ってくることもあります。
河川を下っていくと最終的には海に合流しますが、津波が発生すると波が河川を逆流していき、逆流した水で河川の堤防が決壊して内陸部から津波が襲ってくることもあります。
このことを「河川への遡上津波」や「津波の河川遡上」などというのですが、東日本大震災の際にもこの現象によって被害が拡大しました。
今回はそんな河川への遡上津波について、そもそも河川への遡上津波とは何なのか、河川への遡上津波の防災対策、などについて書いていこうと思います。

河川への遡上津波とは何か

そもそも河川への遡上津波とは津波によって河川の水が逆流する現象であり、これによって河川の堤防が決壊するなどで洪水などの水害が発生することが多いです。
本来ならば川の水は上流から下流へと下っていき、最終的には海へと合流するものです。しかし、大きな津波が発生すると逆に海側から川側へと水が押し寄せる形になり、川の下流から上流に向かって水が逆流してしまうことがあります。
河川を水が逆流すると、河川の水が溢れかえってしまい、水が河川堤防を越えて住宅地や田畑が浸水してしまいます。このように河川への遡上津波では水が河川を超えて住民に襲いかかるので、場合によっては内陸側から海側へと水が動く形になり、本来の海側からの津波と内陸側からの津波によって挟み撃ちにされることがありえます。

実際に東日本大震災でも河川への遡上津波が発生し、市街地へと浸水しました。更に河川への遡上津波によって堤防が壊れたり、橋が壊れたりなどの二次災害も発生しました。
河川への遡上津波では橋や鉄道などの交通インフラを破損させて災害対応や復旧・復興を遅らせる原因にもなり、また田畑に海水が入り込むことで塩害などにも苦しむことになります。

参照記事
床下浸水と床上浸水の違い!それぞれの定義と対応方法

河川への遡上津波の防災対策

東日本大震災で河川への遡上津波が大きな被害をもたらしたことから、防災関連機関が河川への遡上津波の防災対策について検討するようになりました。
河川の堤防はもともと上流から下流へと流れていくことを前提に設計されており、河川への遡上津波は想定されていないのが一般的です。そのためにどうしても河川への遡上津波が発生すると被害が発生するケースが多いのが実態です。

河川への遡上津波に関する調査を進めてハード防災の対策をしていくと同時に、カバー仕切れない部分に打ついてはソフト防災で対策するなどして、河川への遡上津波から住民を守るために総合的な防災を行う必要があると言えるでしょう。
以上、河川への遡上津波について、そもそも河川への遡上津波とは何なのか、河川への遡上津波の防災対策、などについて見てきました。河川への遡上津波はなかなか防災対策するのが難しい分野ではありますが、今後日本で大きな地震が発生した場合にも、同様な事象が発生する可能性もあり注意が必要です。

参照記事
ため池の災害時機能と防災対策しておく重要性について

参考サイト▪︎国土交通省「河川への遡上津波対策に関する緊急提言」