津波火災とは?そのメカニズムと東日本大震災での事例
地震が発生するとそれに伴って津波が発生することがあることは誰もが知っていると思います。東日本大震災の際にも津波で街が飲み込まれていく様子を見たいかと思います。しかし、津波に伴って火災が発生することがあることを知っている人は少ないです。このことを「津波火災」というのですが、日本で発生した過去の災害でも津波に伴って火災が発生した事例が多くあります。
今回はそんな津波火災について、そもそも津波火災とは何か、津波火災の過去の事例、津波災害の対策、などについて書いて行こうと思います。
津波火災とは何か
そもそも津波火災とは何かをひとことで言うと、そのままですが津波によって発生する火災の二次災害のことです。津波(水)なのに火災が発生するということで、どこか疑問に思う人も多いかと思いますが、日本でも過去に津波に伴って多くの火災が二次災害として発生しています。
津波災害が発生するメカニズムは、いくつかありますが、よくあるのが津波によって石油タンクや船舶、車が流されて、そこからガソリンなどの燃料が漏れ出して、ほかの漂流物と衝突するなどのきっかけで火災が発生します。
津波によって車両や全壊した住宅などが漂流して行き着いた先に、流失物が蓄積していき、山積みになった流失物に燃料が引火して火災が発生し、それが住宅などに延焼していくこともあります。
このように津波によって押し流される漂流物には引火性が高く危険な物も多くあります。このような危険物がほかの物と衝突することで津波火災は発生するのです。
津波火災の過去の事例
津波火災は過去に日本でも何度も発生しています。2011年に発生した東日本大震災では過去最大の津波火災が発生したと言われています。日本火災学会の推計データによると、東日本大震災による津波火災は373件発生したそうです。
東日本大震災の場合には、津波によって車両のバッテリーが海水に流されてショートし、それが原因で火災が多発したと推測されています。
1993年に発生した北海道南西沖地震でも大規模な津波火災が発生し、全部で192軒が燃失したと言われています。北海道なので各家庭にプロパンガスのボンベなどが備え付けられており、それが津波火災による延焼を拡大させました。
今後発生が予測されている南海トラフ地震でも、津波の発生が予測されており、それに伴って津波火災も発生するであろうと予測されています。南海トラフ地震の場合には、想定被害エリアが広いこともあり、津波火災の被害も大きくなると予測されています。
津波災害の対策
津波災害は津波によって被害が発生したエリアにて更に発生する火災ですので、一度火災が発生すると消火活動がなかなか大変であり、延焼を防ぐのが大変です。
そのために津波火災にならないように防災対策を行っておく必要があるのですが、石油コンビナートが津波によって流出しないようにすることはできたとしても、すべての自動車を津波によって漂流しないようにすることは難しいと思われます。
ただし、最悪のケースとして津波の避難場所に指定されている場所の付近まで自動車などが津波で漂流してきて、そこから津波火災が発生し避難場所が燃えてしまって避難してきた住民に犠牲者が出るということだけは避けなければなりません。
そのために、東日本大震災や他の地震に伴って発生した津波火災の事例を参考にしながら、津波による避難場所が津波火災の被害を受けないのか、改めてリスク分析し直すなどの対策が重要であると考えられます。
以上、津波火災について、そもそも津波火災とは何か、津波火災の過去の事例、津波災害の対策、などについて見てきました。
津波と火災というなかなか相容れない組み合わせですが、津波被害は過去に多くの被害をもたらしています。津波被害による被害を少しでも減らすためにも、事前の防災対策が必要になってきます。
参考サイト▪︎地震本部「津波火災現象の解明とその対策」