災害救助犬(レスキュー犬)とは?その役割と災害救助犬組織について

災害で建物が倒壊して瓦礫の山が出来上がってしまうと、そこから生存者を探すのは簡単なことではありません。
特に災害対応では「72時間の壁」というものがあり、災害発生から3日間以内に生存者を見つけなければ被災者を救出することは難しいと言われています。
そのために被災地では迅速に生存者を探す必要があるのですが、その際には災害救助犬が役に立つことがあります。
今回はそんな災害救助犬について、そもそも災害救助犬とは何か、日本の災害救助犬、有名な災害救助犬バリー、などについて書いていこうと思います。

災害救助犬(レスキュー犬)とは何か

そもそも災害救助犬(レスキュー犬)とは何かをひとことで言うと、災害で行方不明になっている被災者を災害救助犬の優れた嗅覚で捜索するために特別に訓練された犬のことです。
地震や土砂災害などで被災者が建物や土の下敷きになってしまうことがありますが、そんな被災者を捜索する際に災害救助犬は活躍します。

よく映画などで警察が犯人を捕まえるために警察犬を使うことがあるかと思いますが、それの災害対応版というようなイメージです。ただし、警察犬は特定の匂いから特定の人を探しますが、災害救助犬は特定の匂いを必要とはせずに被災者を探すというところなどが少し違います。
災害救助犬は人間では入れないような瓦礫の隙間に入ったり、人間では立ち入ることができないような障害物があってもそれを乗り越えたり、土砂や雪などの中に被災者が埋もれてしまった状態でも嗅覚を使って被災者を探すことができたりなど、人間の捜索ではできないことを可能にしています。
犬種はジャーマン・シェパードやラブラドール・レトリバーなどが多いですが、犬種は限定されず、どのような犬でも災害救助犬になれると言われています。

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日本の災害救助犬

日本の災害救助犬は大きな災害救助犬組織が4団体存在しています。全国災害救助犬協会、ジャパンケネルクラブ、日本救助犬協会、日本レスキュー協会の4つが有名であり、NPO法人や社団法人の形態をとっています。
この他に、都道府県レベルで独自に活動している協会も多く、最近は都道府県の警察嘱託犬に捜索救助、災害救助という部門で災害救助犬を活用する都道府県警察も増えてきています。
災害救助犬が本当に災害現場で活用できるようになるためには訓練を受ける必要があり、世界標準に適応した災害救助犬を育成するための整備が進められています。

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有名な災害救助犬バリー

災害救助犬は牧羊犬を活用していたという歴史的な経緯もあり、ヨーロッパにおいて早くから活用が進められていました。その中でも世界的に有名な災害救助犬として、スイスのサン・ベルナール修道院で活躍していた山岳救助犬バリーがいます。
この山岳救助犬バリーは雪深いスイスの山岳地帯で約40人以上の人命を救ってきたと言われています。
このように災害救助犬バリーは数多くの命を救ってきたのですが、最も有名な話として、洞窟で凍死しかけていた少年の上に覆い被さって自分の体温で少年を温めた後に、少年を背中に乗せて運びだしたという伝説もあります。
以上、災害救助犬について、そもそも災害救助犬とは何か、日本の災害救助犬、有名な災害救助犬バリー、などについて見てきました。
災害救助犬は被災者を救援救護する上で、重要な役割を果たしています。人間では救出できない命も災害救助犬であれば救出することができるかも知れません。

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参考サイト▪︎認定NPO法人 日本レスキュー協会「災害救助犬について」