災害対策本部とは?その役割と設置基準について
災害が発生した場合には誰かがリーダーシップを発揮してその対応を行う必要があります。地方自治体の場合であれば地方自治体の行政がリーダーシップを発揮しますし、民間の企業であれば民間企業の災害対応を行う部署や社長等が対応を行います。
そんな災害対応を推進していくために臨時で設置される組織のことを災害対策本部と言います。災害対策本部では災害対応を行うために多くの役割があり、いくつかの種類があります。
今回はそんな災害対策本部について、そもそも災害対策本部とは何なのか、災害対策本部の役割は何なのか、災害対策本部の設置基準はどうなっているのか、などについて書いていこうと思います。
災害対策本部とは何か
そもそも災害対策本部とは何かについてなのですが、災害対策本部とは大きな災害は発生した際に、その対応を行うために臨時で設置される組織のことを言います。地方自治体は首長を本部長として設置することが多いですが、民間企業でも設置している会社もあります。
災害対策本部では災害対応を行うにあたっての情報収集や意思決定、資源分配の検討など苦難を乗り切るために数多くのことが議論されて実行されていきます。
災害対策本部の役割
災害対策本部の役割はいくつかありますが、その中でも代表的で大変なものについてあげていこうと思います。
災害対策本部の役割①:被害状況の把握
災害が発生した際にどのエリアでどれくらいの被害が発生しているのかを的確に把握する必要があります。しかし実際の災害現場では被害が大きいエリアに限って肝心な被害状況が上がってこなかったり、情報通信システムが機能せずに連絡が取れなかったりすることがあります。
そのために災害対策本部では被害状況を把握するためにただ連絡を待つだけではなく、自ら何らかの手段で被害状況の情報を取りに行くという考えが重要になってきます。
災害対策本部の役割②:資源の確保・分配
大きな災害が発生するとあらゆるところから支援物資が届き、応援人員が派遣されます。そもそもそのための受援計画を立てておくことも防災計画全体を考えていく上では必要ですが、それらの資源を確保して適切に被災地に分配していくということも災害対策本部の役割になります。
災害対策本部の役割③:対応方針の決定
災害対策本部では当然災害対応をどのように行うかの方針決定が何度も行われていきます。しかし限られた情報の中で重要な意思決定をするのは簡単な話ではなく、災害対策本部の役割①の被害状況の把握とも関連してきますが、状況が的確に把握できないので意思決定ができなかったり遅れたりすることもあります。
そうならないためにも事前に防災訓練を行ったり、防災計画を念入りに作り込んだりするなどして準備をしておく必要があります。
災害対策本部の役割④:広報活動
災害時には誰もがテレビやラジオで情報を得ようとします。マスコミも被害の状況を伝えようと必死になりますが、その中で正しい情報を発信していく広報活動も災害対策本部の役割になります。
災害対策本部の役割⑤:組織・部門間の調整
行政は縦割りになっていることが多いので、縦割りの壁を超えて横断的に業務をしていくための調整を行うことも災害対策本部の役割になります。また大規模の災害になればなるほど、様々な協力機関が入り乱れることになるので、それらの他組織との調整も重要になってきます。
災害対策本部の設置基準について
このように災害が発生した際にその対応を推進していくのが災害対策本部ですが、その設置基準は自治体によって異なりますが、一般的には地震であれば震度5弱以上が発生した場合や市長が認めた時などであるケースが多いです。民間企業においても同様に災害対策本部の設置基準を設けることが多いようです。
非常災害対策本部と緊急災害対策本部
ちなみに非常災害対策本部というものも存在します。これは内閣総理大臣が必要であると認めた時に内閣府に臨時で設置されます。熊本地震の際にもこの非常災害対策本部が設置されました。
また緊急災害対策本部と呼ばれるものもあり、著しく異常かつ甚大な非常災害が発生した場合には設置されます。過去には東日本大震災の際に緊急災害対策本部が設置されました。
以上、そもそも災害対策本部とは何なのか、災害対策本部の役割は何なのか、災害対策本部の設置基準はどうなっているのか、などについて見てきました。災害対策本部は大きな災害が発生した際に事態を収拾していく要になる組織であり、大きな活躍が期待されているのです。
参考サイト▪︎内閣府「東日本大震災関連情報」