被災市街地復興推進地域と被災市街地復興特別措置法について

地震や津波などの大きな災害が発生した場合には、被災エリアにおいて建物や構造物が壊れてしまい、街がめちゃめちゃになってしまうことがあります。
このように大きな災害があってかなりの数の家屋が倒れてしまった場合には、それぞれが勝手に家を作ったりすると揉め事が起きたり、街並みがバラバラになってしまったりします。
そのために政府は「被災市街地復興推進地域」を指定して、被災地の復興を計画的に行うことがあります。
今回はそんな被災市街地復興推進地域について、そもそも被災市街地復興推進地域とは何か、被災市街地復興推進地域で実施できる事業、などについて書いていこうと思います。

被災市街地復興推進地域とは何か

そもそも被災市街地復興推進地域とは何かをひとことで言うと、大規模な災害により被害を受けた市街地の復興を推進するために指定されている地域のことです。
大きな震災や火災などによってかなりの数の建築物が壊れたりした場合には市町村の都市計画で被災市街地復興推進地域に指定することができます。

被災市街地復興推進地域に指定された場合には、その区域において構造物を建てることに制限が入り、土地の造成・建築物の建築等には知事または市長の許可が必要になります。
ちなみに被災市街地復興推進地域に入っていて、知事または市長の許可が取れないためにもともとの土地所有者に大きな支障が生じる場合には、都道府県・市町村等はその土地を時価で買い取るべきとされています。

参照記事
事前復興とは?災害復興グランドデザインとの関係について

被災市街地復興特別措置法とは何か

そもそも被災市街地復興特別措置法とは何かをひとことで言うと、被災した市街地を効率的に復興するためのことが書かれた法律であり、阪神淡路大震災の際に既存の法律では災害からの復興で対応できない部分が多く存在した教訓を踏まえて制定されました。
被災地の復興を考えた場合には、少しでも早く元どおりの生活再建を行うために建物などを建築していきたい一方で、無秩序に構造物を建てていくと劣悪な市街地が再生されてしまうことがあり、既存の都市計画の枠組みの中では対応することに限界がありました。

そこで政府は「被災市街地復興特別措置法」という法律を施行して、都市計画において「被災市街地復興推進地域」の指定が可能になりました。
過去の災害においても、阪神淡路大震災では神戸などの一部エリアが、東日本大震災の際にも宮城県などの一部エリアが、熊本地震でも熊本などの一部エリアが被災市街地復興推進地域に指定されました。

参照記事
復興公営住宅(災害公営住宅)とは?被災者の住宅セーフティネット

被災市街地復興推進地域で実施できる事業

このように被災市街地復興推進地域は被災地を無秩序ではなく計画的に復興していくために指定されたエリアであり、被災地の復旧・復興において重要なエリアになります。
実際に被災市街地復興推進地域で実施できる事業としては、建築物の用途の混在など、良好な市街地環境の形成を図るため、住居、工業地域を適正に配置して、道路・公園などの公共整備を進めることにより、防災性、安全性を高め、安心安全で快適な都市基盤づくりを推進することなどが考えられます。

他にも、低層の木造建築物が密集し、生活環境の悪化した平面的な市街地において、細分化された土地を統合し、不燃化された共同建築物に建て替え、併せて公園、緑地、広場、街路等の公共施設とオープンスペースを確保することで、安心安全で快適な都市環境を再生することなど、被災市街地復興推進地域で実施できる事業としては様々なことが考えられます。
以上、被災市街地復興推進地域について、そもそも被災市街地復興推進地域とは何か、被災市街地復興推進地域で実施できる事業、などについて見てきました。
被災地の復旧・復興は中長期的なものであり時間がかかりますが、被災市街地復興推進地域はより効率的なまちづくりを行う上で必要不可欠なものになります。

参照記事
災害復旧事業とは?インフラ施設を災害復興する流れ

参考サイト▪︎被災市街地復興特別措置法