AIを活用した災害状況要約システム(D-SUMM)がすごい!

災害が発生した際に、どこで何が発生しているのかを迅速かつ正確に把握することは被害を最小限に止める観点からも重要です。そのために個々の住民がTwitterやFacebookなどのSNSで発信する情報をいかに活用するのかが重要になってきます。
この問題を解決するためにNICTは、耐災害ICT研究センター及びユニバーサルコミュニケーション研究所において開発している災害状況要約システム「D-SUMM(ディーサム)」を開発しました。
今回はこのD-SUMM(ディーサム)について、そもそもD-SUMMとは何か、D-SUMMの使い方、などについて書いて行こうと思います。

D-SUMMとは何か

そもそもD-SUMMとは何かをひとことで言うと、災害時にTwitterで発信される大量の情報をAIを用いてリアルタイムで分析して指定エリア内の被災報告を瞬時に要約して発信するものです。
NICTではすでに災害SNS情報分析システムDISAANA(ディサーナ)が開発されており、こちらもTwitterの災害情報を分析する上で優れたシステムなのですが、DISAANAは大規模災害の発生時に膨大な被災報告が出力され、被災状況の概要を一目で把握することは困難であったために今回の災害状況要約システムD-SUMMが開発されました。
D-SUMMでは災害時に住民の人たちがTwitter上で「地震でマンションから火災が発生している!」といったつぶやきや「停電になった!やばい!」などといったつぶやきを集約して、被害状況を感覚的にわかるように要約してくれます。

これらの機能を実現するために、DISAANAで被災報告のタイプを分類するために使用していた意味カテゴリー辞書(2,800万語)を機械学習、統計処理を用いて細分化し、より細かい意味カテゴリーを設けたそうです。
分析された情報は地図上で直感的で分かりやすく被災状況が表示されるので、効率的な救援、避難の支援が可能になると期待されています。
災害にSNSの情報を活用しようという試みは昔から存在していたのですが、技術的な問題や誤情報などの問題でなかなか実現されてこなかったのですが、D-SUMMでは機械学習の技術を活用することでこの問題を解決しようとしています。

参照記事
災害現場へのLINE活用!SNSを防災に活かす新しい形

D-SUMMの使い方

D-SUMMとは何かを理解するためには、何はともあれとりあえずD-SUMMを使ってみるのが良いかと思います。D-SUMMのシステムは公開されており、D-SUMMのHPからアクセスすることができます。
HPにアクセスして、分析したいエリアと時間帯を選択して要約の種類を選べば、要約文が表示されます。感覚的に操作することができるので、色々とボタンを押していじりながらD-SUMMの使い方を理解することができます。

(D-SUMM使用例:NICT HPより引用)
これだけで自分が調べたいエリアにおいてTwitterではどのような報告やつぶやきがされているのか要約文を表示することができます。感覚的にもわかりやすくTwitterの情報をまとめてくれます。

(D-SUMMによる熊本地震の被災報告の要約:NICT HPより引用)

(D-SUMMによる熊本地震の被災報告の要約の地図表示:NICT HPより引用)
Twitterを活用した災害状況把握という今まで日本の防災分野で一つの課題として残っていた問題をD-SUMMは解決するために大きく貢献していると言えるでしょう。
以上、D-SUMM(ディーサム)について、そもそもD-SUMMとは何か、D-SUMMの使い方、などについて見てきました。今後もSNSを活用した災害情報把握の観点からD-SUMMの活用が期待されています。

参照記事
【One Concernインタビュー】シリコンバレーの防災AIベンチャーがついに日本進出

参考サイト▪︎D-SUMM