国際緊急援助隊とは？日本の災害対応スキルを海外で活かす
日本は島国であり、その立地的な影響もあり、世界の中でも災害が多発するエリアとして知られています。実際に毎年のように何かしらの災害が発生しています。
災害が発生することは決して好ましいことではありませんが、一方で過去に多くの災害を経験しているということは、災害対応が他の国よりも経験豊富で優れているとも言えます。
そんな日本の災害対応能力を国際貢献の一環として海外で発生した自然災害に活かすための部隊として「国際緊急援助隊」がいます。今までにも国際緊急援助隊は多くの国に派遣されており、災害対応の支援を行ってきました。
今回はそんな国際緊急援助隊について、そもそも国際緊急援助隊とは何か、国際緊急援助隊の部隊編成について、などについて書いていこうと思います。
国際緊急援助隊とは何か
そもそも国際緊急援助隊とは何かをひとことで言うと、海外で発生した自然災害などに対して日本から派遣される人的支援の部隊のことです。
国際緊急援助隊は、JDRと表現されることもありこれはJapan Disaster Relief Teamの頭文字の略称です。
日本では地震、津波、台風、土砂災害など多くの災害が発生しており、他の国よりも災害対応という観点からみると技術的にも優れている部分があります。
そんな日本が災害対応で今までに身につけてきたノウハウや経験を海外で発生した自然災害でも活用するために国際緊急援助隊は存在します。
元々は1970年代後半に医療チームの派遣を中心とする国際緊急援助活動が始まったのですが、1987年に「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が施行され、国際緊急援助隊の活動が本格化して行きました。
海外で災害が発生して、その被災国が国際緊急援助隊の派遣を要請した際に、国際緊急援助隊は派遣されます。被災国から要請があるとJICA（国際協力機構）が調整を行い、外務省が各関係省庁の協力を得て国際緊急援助隊が派遣されます。
国際緊急援助隊の部隊編成について
国際緊急援助隊の部隊編成は大きく「救助チーム」「医療チーム」「専門家チーム」「感染症対策チーム」「自衛隊部隊」の5つのチームに分けることができます。
国際緊急援助隊の部隊編成①：救助チーム
はじめに救助チームが行う支援内容は被災者の捜索、救出・救護、応急処置、移送がメインの業務です。チーム構成は消防庁の国際消防救助隊、警察庁、海上保安庁の隊員などによって構成されています。
それに加えて、災害救助犬、救助チームの健康管理を担当する医療班、耐震や建物などの構造評価専門家、業務調整員なども救助チームに含まれて、被災者を救援・救護するために活動しています。
国際緊急援助隊の部隊編成②：医療チーム
次に医療チームはその名前の通り、被災者に対して医療行為を行います。医療チームでは被災者の診療にあたるとともに、場合によっては疾病の感染予防や蔓延防止のための活動を行います。
医療チームの構成メンバーは、個人の意志で登録している医師、看護師、薬剤師、医療調整員の中から選ばれ、それに外務省の職員やJICAの業務調整員などが加わって構成されています。
国際緊急援助隊の部隊編成③：専門家チーム
専門家チームは、被災地における建物の耐震性診断や、火山の噴火予測や被害予測など、災害に対する応急対策と復旧活動について災害対応の専門家という立場から被災国政府へアドバイスをします。
専門家チームは、災害の種類に応じて、関係省庁、地方自治体や民間企業の技術者・研究者などが中心となって構成されています。
国際緊急援助隊の部隊編成④：感染症対策チーム
感染症対策チームはその名前の通り、感染症に関する支援を幅広く行うために、「疫学」、「検査診断」、「診療・感染制御」、「公衆衛生対応」の4つの専門機能と、自己完結型の活動を行うための「ロジスティック」を合わせた5つの機能から構成されています。
国際緊急援助隊の部隊編成⑤：自衛隊部隊
最後に自衛隊部隊ですが、外国で大規模な災害が発生し、特に必要があると認められた場合には自衛隊部隊が派遣されます。
日本国内の災害対応でも自衛隊は派遣されており活躍していますが、海外の災害対応においても自衛隊は活躍しています。自衛隊部隊では、艦艇・航空機を用いた輸送活動、給水活動、医療・防疫活動を行っています。
以上、国際緊急援助隊について、そもそも国際緊急援助隊とは何か、国際緊急援助隊の部隊編成について、などについて見てきました。
国際緊急援助隊は日本の災害対応スキルを海外の自然災害による被害にも活かそうという国際貢献の一環であり、その活躍が期待されています。
参考サイト▪︎JICA「国際緊急援助」