救援物資(支援物資)の受付の仕組みと効果的に行う方法
災害が発生した時に避難所に住民が避難するかと思いますが、その時にはただ場所を提供するだけではなく、食べ物や毛布など生活していくために必要な物資を提供する必要があります。備蓄している非常用物資だけではすぐに底をついてしまうので、足りない分の食料や飲料水などを他から調達する必要があります。そんな時に活用するのが救助物資(支援物資)です。
今回はそんな救助物資(支援物資)について、そもそも救助物資にはどんなものがあるのか、救助物資を避難所に届けるまではどんな流れるになるのか、効果的に避難物資を輸送するためには何が必要なのか、などについて書いていこうと思います。
救助物資(支援物資)にはどんなものがあるのか
ひとことに救助物資(支援物資)と言っても多種多様なものがあります。災害発生からどれくらい時間が経過したのか、どのような用途なのかによって救助物資の内容も変わってきます。
具体的には災害発生直後は水、毛布、ブルーシートなど生活をする上で最低限必要なものが必要になります。災害発生から数日以内の行方不明者を捜索している段階では作業着、スコップ、軍手、長靴などが必要になります。
避難所に暮らしている被災者に対しては、タオルケットや掛け布団、下着などの衣類が必要とされます。その他にも段階によっては歯ブラシや石鹸などのアメニティや、ハサミやカッターなどの生活用品などが必要になります。
このように被災地で必要になる救助物資 は基本的なものだけでも数百種類に上ると言われており、多種多様です。その分、救助物資を効率良く分類分けして、必要な物資を必要な所に配分することが求められるのです。
救助物資(支援物資)を避難所に届けるまでの流れ
そんな救助物資ですが、効率的に避難所まで必要な物資を届けるために、輸送の流れが確立されています。まず救助物資を送ることが決定すると、その物資を持っている食品メーカーなどから「広域物流拠点」へと輸送されます。この輸送のことを「一次輸送」と言います。この広域物流拠点には物流事業者の倉庫施設が利用されることが多いです。
次にそこから被災した「自治体の集積所」へと輸送されます。この輸送のことを「二次輸送」と言います。この自治体の集積所は自治体庁舎やイベント施設などの広いスペースが利用されることが多いです。
そしてこの自治体の集積所から「避難所」へと輸送されます。この輸送のことを「三次輸送」と言います。このように救助物資は直接避難所に届けられるのではなくて、何度か拠点を経由してから届けられるのです。
広域物流拠点や自治体の集積所ですが、当たり前ですが災害が発生しても被害が発生しない場所を選定する必要があります。広域物流拠点や自治体の集積所が機能しなくなると、救助物資が末端の避難所まで届かなくなり、物流が止まってしまうからです。
その他にも災害時でもできるだけ渋滞に巻き込まれないエリアであることや、入荷と出荷を別々にできることや、出荷が止まってもある程度は保管できる場所であることなどが選定の条件になります。
輸送作業をするにあたっては、段ボール一つ一つを運んでいたのではそれがボトルネックになって避難所への救助物資輸送ができなくなるので、フォークリフトやパレットを活用した輸送が求められます。
効果的に救援物資(支援物資)を輸送するために必要なこと
避難物資を効率的に管理することは簡単そうに見えてかなり難しいです。全国各地から被災地に対して何かしてあげようと救助物資が届き、混乱することはよくあります。
特に個人から輸送された救助物資は1つの段ボールにいろんなものが混在されており、仕分けの作業をするのも一苦労です。場合によってはそれがボトルネックになって、本当に必要な物資が避難所に届かないこともあるので、個人からの救助物資は一旦別のところで放置したり断ったりするなど取捨選択するのも一つの方法です。
その他にも広域での救助物資の受け入れ体制を構築することも重要です。特に大規模災害の際には「自治体の集積所」そのものも被災してしまい、物流拠点としての機能を持てなくなることがあります。
熊本地震の時にもそうだったのですが、その際には自分の県ではなくて近隣の都道府県の「自治体の集積所」を活用して救助物資を輸送することも一つの方法です。
以上、救援物資(支援物資)の受付について見てきました。救助物資をうまく管理することは実際かなり難しいです。しかし、政府もどの救助物資がどこにどれくらいあるのかというシステムを作成中であり、今後はより高度な管理体制が出来上がることが期待されています。
参考サイト▪︎内閣府「被災者への物資の調達・搬送の仕組み」